こっこにゃんのお部屋

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【漫画ネタバレ】第139話 茜射す空 畑を駆け【BEASTARS】

ファストフード店を訪れたメロンは、肉食獣セットと草食獣セットをひとつずつ注文する。
新商品が美味しいと話す鳥類の客を、殺意のこもった目で睨み付けるメロン。
「簡単に俺の前で美味しいなんて言葉吐くもんじゃないぜ鳥類の姉ちゃん あんたの羽を乱暴にむしって全身まっピンクの肉の塊にしてむしゃぶりつきながら問いただしてもいいか 姉ちゃん 美味しいって言葉の本当の意味を…!」
しかしそれも一瞬の殺戮衝動で、すぐに収まる。
メロンには草食獣の味覚も肉食獣の味覚もなく、野菜や卵、ビタミンやタンパク質、何もかもが砂の味に感じられたのだ。

メロンが店を出てから、ファストフード店の店員はこそこそと噂をする。
「あのお客よ…様子がおかしかったの 角はまるっきりガゼルなのに爪は鋭くて 一瞬見えた瞳孔がネコ科みたいに小さかった」
歩きながらメロンは思う。何をしても肉食獣と草食獣の自分が交互に鳴き声をあげている。
草食獣を見れば食いたいとは思わなくても殺してやりたくなり、肉食獣が近寄ると恐怖心を抱くこともある。
そんな自分を保つために、メロンが行く場所。
それは、タトゥースタジオだった。
殺獣鬼と呼ばれている彫師がいるらしい。その彫師を指名するが、店長はクビにしたと答える。しかし、未だに荷物をまとめている最中のようだ。

殺獣鬼と呼ばれた彫師のホルガー。彼はナマケモノであった。
彫師としての彼の腕は天下一品で、注文はあとを絶たなかった。
しかし、彼はナマケモノである。ゆっくりじっくりと刃を入れていくため、出血と痛みに耐えきれず死者が出てしまっているのだ。
だがホルガーは気にも留めず仕事を続けている。だから殺獣鬼と呼ばれて恐れられていた。
今となってはホルガーのお得意様はメロンだけだった。

ホルガーの前で服を脱いでいくメロン。彼の上半身にはメロンの葉が彫られていた。
いよいよ下半身にもヒョウ柄が現れ始めた。メロンは、いつも通り上にメロンの葉を彫ってくれと頼む。
「メロン畑を耕してくれ…お前の手で」
ホルガーは口が回るのも遅く、余計なことをしゃべらないのも長所だとメロンは言う。

刃が食い込む度、恍惚の表情で声をあげるメロン。自分はヒョウでもガゼルでもないが、生きていると実感できるのだ。
「この畑に実がなるとき俺はどうなってるんだろうな…未来が明るいぜまったくよ!!」

半日ほどかけて彫り終わった頃には、床は血だらけになっていた。
その頃隣のブースには別の客がいた。なんとそれは、レゴシだった。
メロンの臭いを追跡してきたのだ。レゴシはタトゥーを肩にいれることにする。何をいれるか思い付かないらしく、とりあえず今日の日付を入れることに。
なにか情報を得たいと考えるレゴシ。
その時、隣のブースから声がする。遅れてホルガーが、メロンと会話しているのだ。

感想
うわぁ…。メロン、味覚もおかしいとか可哀相になってきた。
ただの悪役にしか見えなかったけど、彼も彼で苦悩があるのだろう。
草食獣を殺してやりたくなるのは、純血の獣に対する嫉妬もあるのだろうか?
あとレゴシ、ハルちゃんと結ばれても子供がこうなる可能性があるのか…。
どうなるのが一番いいんだろうな。ハルちゃんと結ばれて、子供は養子?

メロン、入れ墨だらけなのは衝撃的だった。
裏社会の人物であることは分かっていたけど、それにしても…。
メロンの葉を彫ったのは、自分の名前…名付けた親に対する屈折した感情?

しかしホルガーはよく生きてこられたなぁ。
漫画だから突っ込んでも仕方ないんだろうけど。